今回は、ハーマンモデルの生みの親、ネッド・ハーマンが属していた企業、
ゼネラル・エレクトリックについて見ていきましょう。
かつて世界最大の総合電機メーカーであったゼネラル・エレクトリックとはどういう企業なのか、
その歴史は現在の動向を見ることで、理解を深めていければと思います。
ゼネラル・エレクトリックの歴史
ゼネラル・エレクトリックは、創業者トーマス・エジソンが生んだ発明が始まりとなります。
その歴史は、電気を使ったさまざまな技術の発展とともに歩んできました。
トーマス・エジソンの功績
トーマス・エジソンは、ゼネラル・エレクトリックの創設者であり、その発展に大きく寄与しました。以下では、エジソンがゼネラル・エレクトリック社にもたらした主要な功績について詳しく解説します。
- 白熱電球の発明 エジソンは、効率的な白熱電球の開発に成功し、電気照明の普及に大きく寄与しました。白熱電球は、当時のガス照明に比べて明るく、効率的で、安全性も高かったため、家庭や工場、街路照明に広く使われるようになりました。これにより、ゼネラル・エレクトリック社は電気事業の礎を築くことができました。
- 電力インフラの構築 エジソンは、電力供給システムの開発にも取り組み、直流（DC）電力を利用した最初の商業的な発電所を立ち上げました。これにより、電力がより広範囲に供給されるようになりました。その後、交流（AC）電力が主流となりましたが、エジソンの開発した直流電力システムは、現代の電力インフラの基礎を形成する上で重要な役割を果たしました。
- 研究開発の重視と組織文化 エジソンは、研究開発を重視する組織文化を築き、新たな技術や製品の開発を促進しました。彼が創設したメンローパーク研究所は、世界初の産業研究所とされ、多くの発明と革新が生まれました。この研究開発の重視は、ゼネラル・エレクトリック社の組織文化として受け継がれ、その後も多くの技術革新を生み出す基盤となりました。
- 多角化戦略の基盤 エジソンの発明は、ゼネラル・エレクトリック社が新たな事業領域を開拓するきっかけとなりました。電話機の改良や蓄音機の発明、キネトスコープの開発など、さまざまな分野で技術革新を行いました。これらの発明がゼネラル・エレクトリック社にとって新たな事業領域を開拓するきっかけとなり、多角化戦略の基盤を築くことに繋がりました。
- 豊富な特許ポートフォリオ エジソンは、1,000以上の特許を取得し、幅広い分野で技術革新を行いました。これにより、ゼネラル・エレクトリック社は他社との競争において優位に立つことができ、独自の技術や製品を開発・販売することが可能となりました。特許ポートフォリオは、同社の市場支配力を強化し、さらなる発展のための基盤を提供しました。
- 企業イメージの構築 トーマス・エジソンは、発明王としての名声を通じて、ゼネラル・エレクトリック社の企業イメージを向上させました。彼の名は、革新と技術力を象徴するものとなり、ゼネラル・エレクトリック社が世界的な総合電機メーカーとして成長する原動力となりました。
- これらの功績を通じて、トーマス・エジソンはゼネラル・エレクトリック社の発展に大きく貢献し、同社が世界的な総合電機メーカーとして成長する基盤を築きました。今日でも、エジソンの精神はゼネラル・エレクトリック社の組織文化として受け継がれており、革新と技術力の追求が同社の発展の原動力となっています。
企業の成長と事業の多様化
ゼネラル・エレクトリックは、エジソンの発明を基に、電気関連の技術をどんどん開発してきました。
その結果、金融サービス、航空機エンジン、医療システム、電力システム、放送、家庭電器、照明など幅広い分野で事業を展開するようになりました。
ゼネラル・エレクトリックの変革と未来
ゼネラル・エレクトリックは、過去にも多くの変革を経験してきました。
そして、その変革を続けながら未来を見据えた技術開発に力を入れています。
- 20世紀初頭～中期
多角化戦略の展開 20世紀初頭から中期にかけて、ゼネラル・エレクトリックは積極的に事業領域を拡大し、多角化戦略を展開しました。
航空機エンジン、家庭電器、医療機器などの分野で成功を収め、国際的な総合電機メーカーとしての地位を確立しました。 - 1980年代
競争力の低下と再生 1980年代には、日本企業の台頭や世界的な不況の影響で競争力が低下しました。
しかし、1981年にジャック・ウェルチがCEOに就任し、大幅な人員削減や事業再編を行い、同社の競争力を回復させました。 - 1990～2000年代
金融サービスの拡大とグローバル化 この期間には、GEキャピタルを中心とした金融サービス事業が急成長し、同社の収益を牽引しました。
また、世界各地への進出を加速させ、グローバルな企業体制を整えました。 - 2010年代
デジタル化へのシフト 2010年代に入ると、ゼネラル・エレクトリックはデジタル技術の活用に力を入れました。
Predixと呼ばれる産業用IoTプラットフォームの開発や、GEデジタルという新しい部門の設立により、デジタル化へのシフトを進めました。 - 2020年代～未来
持続可能な成長への取り組み 現在、ゼネラル・エレクトリックは持続可能な成長を目指しています。
再生可能エネルギーや環境技術への投資を強化し、環境に配慮した製品開発や事業展開を行っています。また、同社は経営の効率化やイノベーションの推進を通じて、未来に向けた競争力の維持・向上を目指しています。
時系列に沿って見ると、ゼネラル・エレクトリックは常に変革を追求し、市場環境や技術革新に応じて事業戦略を柔軟に変えてきました。
その過程で、同社は様々なチャレンジに取り組み、多くの分野で成功を収めてきました。
ゼネラル・エレクトリックの今後の展望
ゼネラル・エレクトリックは、現在でも多様な分野で事業を展開しており、その動向が注目されています。今後の展望について見ていきましょう。
持続可能なエネルギーの開発
ゼネラル・エレクトリックは、太陽光発電や風力発電など、環境にやさしいエネルギーの開発に取り組んでいます。
これにより、地球に負荷をかけずに、持続可能なエネルギーを提供しようとしています。
デジタル技術の活用
ゼネラル・エレクトリックは、デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルやサービスの開発にも力を入れています。
これにより、企業の競争力を維持し、さらなる成長を目指しています。
ネッド・ハーマンとゼネラル・エレクトリック
最後に、以前紹介したハーマンモデルに関連して、
ゼネラル・エレクトリック擁した、多くの優れた人材の中でも特筆すべき存在のネッド・ハーマンについて見ていきましょう。
ネッド・ハーマンの経歴
ネッド・ハーマンは、ゼネラル・エレクトリックでリーダーシップや創造性の向上に取り組んできました。
彼は、心理学や経営学の知識を活かして、企業のパフォーマンス向上に貢献しています。
ホールブレイン理論の開発
ネッド・ハーマンは、ホールブレイン理論を開発しました。
これがいわゆるハーマンモデルですね。
この理論は、人間の脳を4つの異なる思考スタイルに分けることで、個々人の強みや弱みを把握し、チームや組織の効率を向上させることを目指しています。
ゼネラル・エレクトリックでは、この理論を活用して、従業員の能力開発やチームビルディングに取り組んでいます。
まとめ
ゼネラル・エレクトリックは、創業者トーマス・エジソンの発明を基に、多様な分野で事業を展開してきた企業です。
過去にはジャック・ウェルチのリーダーシップによる変革があり、現在は持続可能なエネルギーやデジタル技術の活用に注力しています。
今後も、その動向が業界に大きな影響を与えることでしょう。
