ハーマンモデルとは、人がもつ4つの基本的な認知スタイルを説明するものです。
ハーマンモデルの知識を取り入れ、あなた自身がどのタイプに属しているかを知ることで、
自己理解が深まるかもしれません。
また、他者の認知スタイルを理解することで、より円滑なコミュニケーションができるようになる可能性があります。
それではハーマンモデルについて詳しく見ていきましょう。
スポンサーリンク
ハーマンモデルの紹介
ハーマンモデルは、アメリカのゼネラル・エレクトリック社(GE社)で社員教育責任者であったネッド・ハーマンが、開発したモデルです。
ハーマンモデルとは、人々が問題を解決するときに使用する4つの基本的な認知スタイルを説明するもので、膨大な数の人々の行動を研究することで生まれました。
ハーマンモデルの4つの思考タイプ
ハーマンモデルは、
- Aタイプ:理性(論理)型
- Bタイプ:堅実(計画)型
- Cタイプ:感覚(友好)型
- Dタイプ:冒険(創造)型
の4つの思考タイプに分けられます。
※タイプ別の適職について別の記事で解説していますので、ぜひご参考ください。
Aタイプ:理性(論理)型
ハーマンモデルにおいて理性(論理)型は論理的、合理的な考え方を重視する傾向があります。
理性(論理)型の主な特徴
- 感情的な影響を排除し、理性的な分析に基づいた判断を行う傾向にある。
- 論理的な考え方に基づいて問題解決をすることが得意
理性(論理)型の思考プロセス
理性(論理)型は事実や事例に基づいて検証をすることが好きです。
- 客観的なデータや情報を収集し、それを分析することでより正確な結論を導き出す
- 自己の主張を支持するために、明確な根拠を示す
理性(論理)型はデータに基づき根拠を組み立てる
理性(論理)型は根拠を求める傾向があります。
- 感情や信念に基づく主張を避け、事実や証拠に基づく議論を好む
- 論理的な正当性が明確になった主張をすることが多く、周囲が納得できる説明をする
総じて理性(論理)型の思考は、論理的・合理的な考え方に基づいて事実や証拠に基づく検証を好み、明確な根拠を求める傾向があります。
理性(論理)型は感情的な影響を排除し客観的な判断を行うことが得意で、その主張は周囲から信頼されることが多くあります。
Bタイプ:堅実(計画)型
ハーマンモデルにおいて、堅実(計画)型は行動規範やルール、計画を重視する傾向があります。
堅実(計画)型の主な特徴
- 自己規律を守り、周囲の人たちや社会に対して責任を持つことを優先する
- 自己管理に努め、行動する前にルールや計画を立てる傾向にある
堅実(計画)型の思考プロセス
堅実(計画)型は同じミスを繰り返さないように、パターンを作ることが得意です。
- 過去の失敗や成功を分析し、その結果から自己改善を図る
- 失敗を恐れず新しいことに挑戦するが、その前に十分な準備や計画を立てる
堅実(計画)型は計画や過程を重要視する
堅実(計画)型は目標に向けての実行計画を重視します。
- 長期的な目標を設定し、達成するための具体的なステップを考え、計画的に実行する
- 順調に目標達成に向けて進んでいくことが多く、その過程で自己成長していく
総じて、堅実タイプの思考は行動規範やルール、計画を重視し、同じミスを繰り返さないようにパターンを作り、目標に向けての実行計画を重視する傾向があります。
彼らは自己管理能力が高く、計画的な行動が得意です。
特に職場で上司が冒険(創造)型、部下が堅実(計画)型の場合は
「あの上司、言ってることがコロコロ変わって全然計画性がない!」
と衝突を起こしがちですが、これはお互いの思考プロセスの違いによる食い違いが起こるからなのです。
Cタイプ:感覚(友好)型の思考
ハーマンモデルにおいて、感覚(友好)型はチームワークやコミュニケーションを重視する傾向があります。
感覚(友好)型の主な特徴
- 感性豊かで自分自身の直感や感覚を信じ、未知の状況にも柔軟に対応することができる
- 直感を活かした行動や判断をすることが多く、時には思わぬ発想で問題を解決することがある。
感覚(友好)型の思考プロセス
感覚(友好)型はその場の雰囲気や空気感、人の感情を重視する傾向があります。
- 周囲の状況や人々の感情を敏感に感じ取り、自分自身の行動や言動を調整する
- コミュニケーション能力が高く、人との交流を大切にすることが多い
感覚(友好)型はチームワークを重視する
感覚(友好)型はチームワークを重視する傾向があります。
- 協調性があり、周囲の人たちと協力して目標達成に向けて努力する
- チームでの仕事やプロジェクトに適していることが多く、組織内での社交的な役割を担うことが多い
総じて感覚(友好)型の思考は直感を重視し、その場の雰囲気や空気感、人の感情を重視しチームワークを重視する傾向があります。
彼らは感性豊かで周囲の人たちとの交流を大切にし、協調性があります。
そのため組織内での社交的な役割を担い、チームでの仕事やプロジェクトに適していることが多いです。
Dタイプ:冒険(創造)型
冒険(創造)型は直感と行動を重視する傾向があります。
冒険(創造)型の主な特徴
- 新しい経験や未知の世界に興味を持ちやすい
- 既存の情報に頼らずに直感や感覚を信じる
このため、冒険(創造)型は冒険や探求に適した環境で活躍することが多いです。
冒険(創造)型の思考プロセス
冒険(創造)型はクリエイティブな思考に優れています。
- 独自性のあるアイデアを好み、そのアイデアを実現するために柔軟な思考力を発揮する
- 問題解決に対して独自のアプローチを持ち、思わぬ発想で問題を解決する
冒険(創造)型は目標に向かって突き進む
冒険(創造)型は大きな目標を重視します。
- 目標達成に向けて積極的に行動することが多く、困難な状況でも諦めずに努力し続ける
- 挑戦的なプロジェクトやビジネスで成功する傾向にある
総じて冒険(創造)型の思考は直感を重視し、クリエイティブで独自性のあるアイデアを好み、大きな目標を追い求める傾向があります。
彼らは常に新しい経験を求め、自己実現のために積極的に行動します。
ハーマン・モデルによる診断とテスト分析
ハーマンモデルは、診断やテスト分析のためのツールとして使用することができます。
このモデルは、問題解決、意思決定、性格特性などのテーマを分析するために使用することができます。
診断では、個人の環境を評価し、最適な治療方針を決定するために使用されます。
テスト分析では、ハーマン・モデルを用いて、環境との関連で個人のパフォーマンスを調べることができます。
無料の診断は
近くナビ-ハーマンモデル的診断
http://chikaku-navi.com/harman/
が手軽で良いかと思います。
また、もっと詳しくハーマンモデルの内容を勉強したうえで簡易的なテストを設けたいと感じた方は
図解 コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく
鈴木義幸 (著), 伊藤守 (読み手)
上記の著書が個人的におすすめです。
この本ではハーマンモデルの4タイプを、よりビジネスシーンに利用しやすいよう
- プロモーター
- コントローラー
- サポーター
- アナライザー
と分けられています。
冒頭の20問の質問に答えることで、あなたのがどのタイプに当てはまるのかを分類し、
結果を頭に置きながらより詳しい解説を読み進めていくことができるので、
具体的に自分事として内容が入ってくるかと思います。
※タイプ別の適職について別の記事で解説していますので、ぜひご参考ください。
ハーマン・モデルを使用するメリット
ハーマン・モデルは、職場などの環境の中で個人をどのように捉えるかを知ることができる強力なツールです。
個人の要因と環境の影響がどのように相互作用するかについて、一定のパターンを知ることができますことができます。
実用的な使用方法としては、直接ハーマンモデルに言及しているわけではありませんが
人の思考プロセスを4つに分けて、それぞれの特性に分けた具体的な声のかけ方を書かれている
たった一言で部下が自分から動くすごい伝え方
稲場 真由美 (著)
こちらの著書がかなり参考になるのでお勧めです。
例えば、「冒険タイプ(著書内では”ビジョンタイプ”と表現)」の上司が
「堅実タイプ(著書内では”ピースプランニングタイプ”と表現)」の部下に指示を出す場面を引用すると、
【急ぎの仕事をなかなかやってくれない】
引用元:たった一言で部下が自分から動くすごい伝え方 稲場 真由美 (著)
急ぎの仕事が入り、部下たちに手伝てほしいとお願いした。
「はい。」と言って手伝ってくれる部下がいる一方で、「今やっている仕事も急ぎなので」と言って、自分の仕事を優先する部下がいる。
~中略~
言い換え
「この仕事、急ぎでお願いするよ」
→「この仕事を一番に、○時までにやって」「それ以外の仕事は、この順番と期限でお願い」
というように、自分のタイプと部下のタイプを把握した上で
それぞれのタイプに対してどう接していけばいいかがケースごとに詳しく書かれているので、とてもわかりやすく理解できます。
また、以下の記事ではそれぞれのタイプの組み合わせごとにどのような役割を担えばコミュニケーションが円滑に進むかを解説していますので、併せてご覧ください。
まとめ
ハーマン・モデルは、個人が環境とどのように相互作用するかを理解し、様々な分野でのパフォーマンスを評価するための有用なツールです。
このモデルは、診断とテスト分析の両方に使用することができ、個人とその環境の包括的なビューを提供します。
人の内的状態や環境との関係を理解するための強力なツールといえるハーマン・モデルをぜひ活用してみてください。