OJTとは?意味をわかり易く解説【研修・看護教育でのやり方や向いてない人の特徴など】

現場での実践トレーニングとして広く用いられるOJTは
効果的な教育方法の一つとして知られていますが、適切な条件で実施することが重要です。

今回はそんなOJTの意味や、研修や看護などの職種での実施方法
さらには向いていない人の特徴について解説行きたいと思います。

OJTとは

それでは、OJTについて具体的な内容を見ていきましょう。

OJTの概要

OJTとは、英語の”On-the-Job Training”の頭文字をとったものです。

直訳すると「仕事中の訓練」となります。

仕事をしながら同時に学ぶということです。

私たちが仕事を始めた時に、先輩から教わったり、実際に手を動かして覚えたりする。

そんな日常的な学びもOJTの一部なんです。

OJTの目指すところ

では、このOJTがどんな目的を持って行われるのでしょうか?

それは業務に必要なスキルを現場で身につけ、仕事への理解を深め、自分自身で業務を遂行する能力を向上させることです。

新しい仕事を覚える時何から始めていいのかわからない、そんな経験は誰しもあると思います。

OJTはその時に先輩や上司が側に寄り添い、一つ一つ教えてくれるという手法なのです。

OJTはどんな形で行われる?

OJTは主に先輩や上司が新人に直接指導を行います。

これは一対一の形で行われることが多く、先輩が実際の業務を通して具体的な知識や技術を教えてくれます。

例えば看護や介護の現場では、経験豊富な先輩が新人に患者さんのケアの仕方を教えます。

医療現場ではドクターが若い医師に手術の技術を指導します。

こうした現場での指導は教科書だけでは学べない現場の空気感や対人スキルも学べる貴重な機会です。

研修や看護の教育におけるOJTのやり方

OJTを行う際には、基本的に4つのステップが行われます。

1:目標設定

OJTにおいて目標を設定する際には、受講者と指導者が共に話し合い、達成すべき目標や学習方法を決めます。

例えば看護師のOJTを行う場合、受講者と指導者で話し合い、以下のような目標を設定することができます。

病棟での実践的なスキルを習得すること

指導者からの指導のもと、患者の身体測定やカテーテル留置、薬の投与など、病棟で行う基本的な看護スキルを身につける。

コミュニケーション能力の向上

患者やその家族との会話や説明を通じて、コミュニケーション能力を向上する。

動きやすい職場環境の作り方を学ぶ

指導者と共に、効率的な業務の進め方や、患者の急変に対応する方法などを学び、職場環境をより良くする方法を習得する。


目標が決まったら、どのように学習するかを決定します。具体的には、受講者が指導者からスキルや知識を直接学ぶ方法や、業務を通じて経験を積む方法などがあります。

また、目標に対してどのように評価するかも重要です。

看護師の場合、症例や業務内容によっては患者の状態の変化を正確に把握し、迅速かつ適切に対応することが求められます。

そのため、目標を達成するためのスキルや知識の量や質、実践的な能力を評価する必要があります。

OJTにおいては受講者と指導者が協力し、共に目標を設定し目標達成に向けた学習計画を策定することが重要です。

目標が明確になっていることで受講者は自己成長に向けた意欲が高まり、指導者も受講者の目標達成を支援することができます。

2:実務トレーニング

OJTでは、実際の業務を行いながら、指導者から直接的な指導を受け、実践的なスキルや知識を学ぶことができます。

例えば、大学の図書館でのOJTを行う場合、受講者は貸出カウンターや資料の整理など、実際の業務に携わりながら、指導者から図書館での業務に必要なスキルや知識を学びます。

具体的には、

蔵書の分類方法

図書館には膨大な蔵書があり、それぞれ分類されています。

受講者は、指導者から分類方法を教わりながら、実際の業務を通じて蔵書の分類方法を身につけます。

貸出・返却手続きの方法

受講者は、図書館の貸出カウンターでの業務を通じて、貸出・返却手続きの方法を学びます。

指導者からの直接的な指導や、顧客とのコミュニケーションの場を通じて、実践的なスキルを身につけます。

資料の管理方法

図書館には多くの資料があり、それらを正確に管理することが求められます。受講者は、指導者から資料の管理方法を学びながら、実際に資料の整理や管理を行うことで、スキルを身につけます。


OJTにおいては、実際の業務に携わることで、現場で必要とされるスキルや知識を身につけることができます。

指導者から直接的な指導を受けることで、理論だけでは得られない実践的なスキルを習得することができます。

また、実践を通じて、課題や問題点に直面することで、自己成長につながる学びを得ることができます。

3:フィードバック

OJTでは受講者が実際の業務を行い、指導者からのフィードバックを受けることが重要です。

例えば、レストランでのOJTを行う場合、受講者は接客や調理などの業務を行いながら指導者からのフィードバックを受け、スキルアップを目指します。

具体的には、

接客の方法

受講者は、実際にレストランでの接客を行いながら、指導者からフィードバックを受けます。

例えば、挨拶や注文の受け方、お客様に適したおすすめメニューの提案方法などについて、指導者からアドバイスをもらいながら実践することで、スキルを磨くことができます。

調理の技術

受講者は、調理場での実際の業務を行いながら、指導者からのフィードバックを受けます。

例えば、素材の扱い方や調理方法、味付けの仕方などについて、指導者からアドバイスをもらいながら実践することで、スキルを向上させることができます。

顧客対応の方法

受講者は、顧客からの要望やクレームなど、実際に顧客と接していく中で、指導者からのフィードバックを受けます。

例えば、問題解決の方法や対応の仕方などについて、指導者からアドバイスをもらいながら実践することで、顧客対応力を向上させることができます。


OJTにおいては、実践を通じて受講者のスキルアップが期待されますが、そのためにはフィードバックが欠かせません。

指導者からのフィードバックは、受講者の成長にとって非常に重要であり、実践とフィードバックのサイクルを回しながら、目標に向かって成長していくことが大切です。

4:評価

OJTでは、期間中に身につけたスキルや知識を評価することが重要です。

例えば、IT企業でのOJTを行う場合、受講者は、プログラミングやシステム構築などの実務を通じて、スキルや知識を身につけます。

期間中に身につけたスキルや知識を評価するためには、以下のような方法があります。

課題の達成度

受講者に与えられた課題が、OJT期間内に達成できたかどうかを評価します。

例えば、特定の機能を実装する課題を与えられた場合、期間内に問題なく実装できたかどうかを評価することができます。

スキルの向上度

OJT期間中に、受講者がどの程度スキルを向上させたかどうかを評価します。

例えば、OJT開始時には基本的なプログラミングのスキルしか持っていなかった受講者が、期間中に高度なプログラミングスキルを身につけた場合、その成長度合いを評価することができます。

コミュニケーション能力

IT企業では、単独で作業することもありますが、一般的にはチームでの作業が中心となります。

OJT期間中に、受講者がチームでのコミュニケーション能力を向上させたかどうかを評価することができます。

例えば、積極的に意見を出したり、周りの意見を聞いたりするなど、チーム内でのコミュニケーションに積極的に参加した場合、その能力を評価することができます。


OJT期間中の評価は、受講者が今後のキャリア形成やスキルアップにとって非常に重要です。

受講者が目標としているポジションや職種に必要なスキルや知識を、OJT期間中にどの程度習得できたかを評価することが、受講者のキャリア形成にとって非常に重要です。

また、評価結果に基づいて、今後の課題や目標を設定し、スキルアップや成長を目指すことが大切です。

評価結果が悪かった場合でも、今後に向けての改善点や課題を明確にすることで、次回以降のOJTで成長することができます。

評価方法には、上司や人事部門などが受講者を評価する方法があります。

受講者によっては、自己評価や360度評価という方法を用いる場合もあります。

自己評価では、受講者自身が自分のOJT期間中の成長や課題を振り返り、評価することができます。

360度評価では、上司や同僚、顧客など、様々な視点から受講者を評価することができます。これらの評価方法を組み合わせることで、より客観的な評価を行うことができます。

OJT期間中の評価は、受講者だけでなく、指導者や企業にとっても重要です。

受講者の成長を促すためには、適切な指導や評価が必要です。

また、企業にとっても、OJTを通じた人材育成は、将来の人材不足や競争力の維持につながるため、重要な戦略の一つとなります。

したがって、OJT期間中の評価は、受講者と企業の双方にとって、キャリア形成や成長に欠かせないものとなっています。


OJTは、研修や講義などの理論的な学習とは異なり、実践的なスキルや知識を直接現場で身につけることができるため、非常に効果的な教育方法とされています。

実務に即したトレーニングを通じて、実際の現場で即戦力として活躍できる人材を育成することができます。

また、OJTを実施する際には、指導者と受講者が目標や指導方法を共有し、双方の意見を尊重することが重要です。

受講者は疑問点を積極的に質問し、指導者からのフィードバックを受け取り、自己成長につなげていくことが求められます。

OJTは、職場での実践トレーニングとして重要な教育方法です。

適切な指導方法や職場環境を整えることで、最大限の効果を発揮することができます。

OJTに向いていない人の特徴

OJTに向いていない人には、以下のような特徴があります。

  1. 自己主張が強く、指導者の意見に従わない人
  2. 自分で考えることが苦手で、常に指示を待っている人
  3. 他人に協力的でなく、周りの人とのコミュニケーションが苦手な人
  4. 質問することが恥ずかしく、疑問点を解消しようとしない人
  5. 失敗に対して過剰に反応し、落ち込みやすい人

OJTに向いていない人には、指導者との意見やコミュニケーションが合わない場合が多く、自分で考える力や疑問を解決する力が弱い傾向があります。

また、失敗に過剰に反応し、落ち込みやすい人は、ストレスがたまりやすく、OJTを受けるうえでマイナスの要素になる場合があります。

OJTを成功させるには

一方で、OJTを成功させるためには、双方のコミュニケーションが円滑であることが重要です。

受講者は自分の意見を言いやすくし、指導者は受講者の成長を促す指導を行うことが求められます。

OJTは、現場での実践トレーニングという特性上、適切な指導者や職場環境によって効果が変わってくるため、適切な条件で実施することが重要です。

受講者自身も、自己成長のために、積極的にコミュニケーションを取り、質問することが大切です。

まとめ

OJTは、実務現場でのトレーニングによってスキルや知識を身につける教育方法であり、研修や看護などの職種で広く用いられています。

ただし、自己主張が強く指導者の意見に従わない人や、他人とのコミュニケーションが苦手な人など、向いていない人もいます。

OJTは、指導者との相性や職場環境によって効果が変わるため、適切な条件で実施することが必要です。