ロングテールとは?ニッチ商品を活用する販売戦略を解説

インターネットの普及によって、消費者の購買行動が大きく変化しました。

今日では、一部の人気商品だけでなく、ニッチな商品も簡単に手に入れることができます。

こうした市場の変化に対応するために、ロングテール戦略という販売手法が登場しました。

本記事では、ロングテールとは何か、ロングテール戦略の特徴と仕組み、デメリットと注意点について解説します。

ロングテールとは?

ロングテールとは、マーケティング用語で、製品やサービスの販売分布をグラフ化した際、売上高が少ないニッチな商品が多く存在する尾部の部分を指します。

通常、売上高の多い商品はグラフの頭部に位置し、それ以外の少ない売上の商品が尾部を形成します。

ロングテール戦略では、この尾部にあたるニッチな商品を集積し、それらを販売することで利益を上げようとする考え方です。

以下に具体例を挙げて、ロングテールの概念をわかりやすく説明します。

例えば、本屋を考えましょう。

従来の実店舗の本屋では、店舗スペースの制約から、人気のあるベストセラー本や話題の新刊など、売上高の多い商品を中心に取り扱っていました。

これらの商品は、販売分布グラフの頭部に位置します。

しかし、インターネットの普及により、アマゾンなどのオンライン書店が登場し、店舗スペースの制約を受けずに、幅広いジャンルや発行部数が少ないマイナーな本も取り扱うことが可能になりました。

これらの商品は、販売分布グラフの尾部、つまりロングテール部分に位置します。

ロングテール戦略では、アマゾンのようなオンライン書店が、頭部に位置するベストセラー本だけでなく、尾部に位置するニッチな本も大量に取り扱い、それらを販売することで利益を上げようとします。

タイトルごとの売上は少ないかもしれませんが、その数が非常に多いため、総合的な売上は大きくなります。これがロングテールの考え方です。

ロングテール戦略の販売手法と強み・メリット

ロングテール戦略は、インターネットを活用し、幅広い商品やサービスを取り扱うことで、ニッチな消費者ニーズに対応する販売手法です。

以下に、ロングテール戦略の主な特徴を具体例を交えて説明します。

  1. 在庫リスクの低減
    例えば、映画のレンタル業界を考えてみましょう。
    従来の実店舗のレンタルビデオ店では、店舗スペースの制約から人気のある映画や新作を中心に取り扱っていました。
    しかし、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどのオンライン動画配信サービスでは、人気作品だけでなく、インディーズ映画やドキュメンタリー、外国映画などのニッチな作品も取り扱っています。
    これらのサービスでは、物理的な在庫を持たないため、在庫リスクが低減されます。
  2. オンライン販売の活用
    オンラインショップ「Etsy」は、手作り品やビンテージ商品などのニッチな商品を扱っています。
    インターネットを活用することで、物理店舗の制約を受けず、多種多様な商品を取り扱うことができます。
    また、出品者と購入者が直接やり取りできるため、顧客が自分のニーズに合った商品を見つけやすくなります。
  3. 個別の消費者ニーズに対応
    Spotifyなどの音楽配信サービスは、音楽ストリーミングサービスでメジャーアーティストだけでなく、インディーズアーティストやジャンルが限定された曲も提供しています。
    利用者は自分の好みに合わせてプレイリストを作成したり、アルゴリズムによるおすすめ曲を聴くことができます。
    これにより個々の消費者のニーズに対応し、顧客満足度を高めることができます。

これらの具体例からわかるように、ロングテール戦略は特にプラットフォームが実物としての在庫を持たないインターネット上サービスなどでメリットを強く感じることができます。

需要が少ない商品を膨大な数用意し、それをインターネットを利用して膨大な数の顧客に認知させることで、ニッチな商品やサービスを取り扱い、個別の消費者ニーズに対応する販売手法です。

ロングテール戦略のデメリットと注意点

ロングテール戦略には多くのメリットがありますが、デメリットや注意点も存在します。

以下に具体例を交えて説明します。

  1. デメリット – 売上の予測が難しい
    例えば、アパレル業界でロングテール戦略を採用した場合、多種多様なデザインやサイズの服を取り扱うことになります。
    しかし、これらのニッチな商品の売上は安定しないため、売上の予測が難しくなり、適切な在庫管理や資金繰りが困難になることがあります。
  2. デメリット – 高いマーケティングコスト
    インディーズゲーム開発者が自作のゲームをオンラインストアで販売する場合、知名度が低いため集客が難しくなります。
    その結果、SNSや広告を活用したマーケティングが必要となり、マーケティングコストが高くなることがあります。
  3. 注意点 – 品質管理の重要性
    あるオンラインショップが、世界中のアーティストから様々なアート作品を取り扱う場合、品質管理が難しくなります。
    顧客満足度を維持するためには、品質管理に十分な注意を払い、不良品や顧客の期待に沿わない商品を排除する必要があります。
  4. 注意点 – ターゲット顧客の理解
    健康食品を扱うオンラインストアが、ロングテール戦略を採用してさまざまなニッチな商品を取り扱う場合、ターゲット顧客のニーズを正確に把握し、適切な商品を提供することが重要です。
    市場調査やデータ分析を活用して、顧客ニーズを理解し、それに見合った商品ラインナップを構築することが求められます。

これらの具体例からわかるように、主にサービス提供者が自身で在庫を抱える場合にロングテール戦略のデメリットや注意点が浮き彫りとなります。

Amazonのような、在庫を膨大に保管できる企業は例外として
実物の在庫を抱える企業がロングテール戦略を取ろうとして場合は、需要と供給のバランスを徹底的に見極め、販売戦略をブラッシュアップさせていく必要があります。

まとめ

ロングテール戦略は、インターネットの普及によって生まれた新しい販売手法であり、ニッチな商品を取り扱うことで利益を上げる戦略です。

在庫リスクの低減や個別の消費者ニーズへの対応など、多くのメリットがありますが、売上の予測が難しい、高いマーケティングコストがかかるなど、デメリットも存在します。

ロングテール戦略をうまく活用するためには、品質管理やターゲット顧客の理解に注意を払うことが重要です。