曖昧で一般的な記述を、自分だけに当てはまる事だと捉えてしまう「バーナム効果」
この語源は実在した人物「P・T・バーナム」に由来しています。
この名前を聞いてピンときた方は多いんじゃないでしょうか?
そう、あの大ヒット映画『グレイテストショーマン』の主人公の名前です。
ヒュージャックマンが演じた主人公P・T・バーナムは、サーカスを大成功に導く素晴らしいクリエイターでした。
実は、この映画で描かれるバーナムは実在した人物で、彼の名前から生み出されたのが
心理学として用いられる広告コピーの技法や、一部の占い技術にも応用され、広く知られている「バーナム効果」という現象なんです。
バーナム効果とは?
「グレイテストショーマン」に登場する興行師P・T・バーナムが言った
「誰にでも当てはまる要点というものがある」という言葉から生まれたのが「バーナム効果」です。
この言葉をわかりやすく解釈すると「人々の関心を引き付けるためには、ある一定の普遍的なテーマやアイデアに訴えることが重要である」という感じでしょうか。
つまり、多くの人にとって共感や興味を引き起こす要素があることが、成功する可能性を高めるために必要な事だという事です。
そこから転じて、曖昧で幅の広い解釈ができる一般的な言葉が「自分にぴったり当てはまる」と捉える現象がバーナム効果と呼ばれるようになりました。
バーナム効果の例
例えば占いや性格診断で「あなたは苦労を抱えている」と言われると、多くの人がそれを自分のことと感じてしまいます。
これは、誰にでも当てはまりそうなことを自分のことだと思わせるバーナム効果の一例です。
この効果を利用したテクニックは、他の分野でも多用されています。
広告やマーケティングでのバーナム効果
広告やマーケティング分野では、「あなたに必要なもの」という曖昧な表現を商品やサービスの広告文句に使うことで、多くの人が自分に必要だと感じるように仕向けます。
これにより、消費者が商品やサービスに興味を持ち、購入に至る可能性が高まります。
バーナム効果の倫理的懸念
バーナム効果は、自己理解を深めるきっかけにもなり得ますが、使い方によっては人を扇動したり、時には悪用されることもあります。
そのため、バーナム効果を利用する際は倫理的な観点からも慎重に考える必要があります。
『グレイテストショーマン』から学ぶ「バーナム効果」
相手の心を操作する心理テクニックや交渉で有利に立つ方法など、倫理的に疑問が持たれる場面でよく登場するバーナム効果ですが、 これを悪いものだとしてしまうのは少しもったいない気がします。
信用と価値
現代社会で生活していく上では「信用」と「価値」が重要な役割を果たしており、 そして、世の中に存在する物やサービスは全て誰かの手によって創り上げられたものです。
つまり、誰かの手によって創り上げられたものが信用と価値を提供することが 社会にとって意味のあることなのではないでしょうか。
このことを踏まえ、映画『グレイテストショーマン』を例に、価値創造の意義や「バーナム効果」について考えてみたいと思います。
価値の交換
市場の需要と供給は価値の交換で成り立っています。
映画『グレイテストショーマン』では、主役のP・T・バーナムが、貧しい生まれながらも日陰において生きてきた人々を集め、サーカスを成功させます。
ここにはまさに価値を創造、提供し観客から価値が返ってくる「価値創造のプロセス」が描かれています。
生きる喜びや存在の価値
人間は生まれてきた理由がはっきりと存在しなくとも、生きていかなければなりません。
そこで生きる喜びや存在の価値を創り出すことができるのは、とても素晴らしいことだと思います。
映画では、バーナムが団員に生きる価値を創造し、観客に多くの喜びと夢を与えることに成功しています。
「バーナム効果」が社会に信用と価値を届ける
こうした価値あるものを生み出す取り組みは、多くの志のある方が挑まれているかと思います。
ただ、その価値を原液のまま提供してしまうと、受け取った人は胸焼けを起こしてしまい受け入れられるのが難しくなってしまいます。
「やってることは立派だけど、それは俺には理解できんわ。」と言った状況になってしまうと せっかく生み出した価値に対しての需要と供給のバランスが取れない、ということです。
そこで、バーナム効果を用いて、多くの人に「これは自分に当てはまることだ」と認識できるレベルにまで希釈することこそが、価値を社会に届け交換を可能にするための重要な要素だと感じます。
まとめ
今回は、映画『グレイテストショーマン』を通じて「バーナム効果」について考えてみました。
バーナム効果が一つの心理テクニックにとどまらず、真に社会に価値を広めるための考え方として定着することを願っています。