エポケーとは?ビジネスでの使い方やギリシャ哲学とフッサールの違いを解説

エポケーとは、ある対象や事柄に対する「判断を停止」することを指概念を指す言葉です。

「判断を停止」と聞くとネガティブに聞こえますが、決してそうではなく、
「対象や物の本質をより深く理解するために判断を停止する」という解釈になります。

今回は、エポケーの大枠の意味とエドムンド・フッサールが提唱した現象学的エポケーの概要。そして、ビジネスでどのように使えるかといった実用的なところまでを説明します。

エポケーとは?意味の概要

エポケーとは、ある対象に対する判断が停止している状態を指す言葉です。

この概念の起源は、ソクラテス以前のギリシャ哲学に遡ることができますが
そこでは「判断が停止するまでは、何も知ることはできないし、喜びを感じることもできない」
という解釈が用いられていました。

そこでエポケーが、レッテルを貼ることなく対象物の本質を理解するツールとして利用されることとなりました。

エポケーの目的は、常識や先入観を捨て、本質をより深く理解することにあります。

判断を停止することで、異なる主体や対象がどのように比較され、どのように相互の関係が理解されるのか、洞察を得ることができます。

そして、この理解をもとに、創造的で成功する意思決定を行うことができるのです。

ギリシャ哲学のエポケーと現象学的エポケーの違い

エポケーという概念は、もともとギリシャ哲学で発展し、後に現象学の創始者であるエドムンド・フッサールによって再提案されました。

フッサールの哲学では、エポケーとは「現象学的エポケー」と呼ばれ、世界をより深く理解するために心的判断を停止させることであるとされています。

フッサールの現象学は、本来のギリシャ哲学とは異なり、判断が停止されない限り何も知ることができないし、喜びを感じることもできないとするものではありません。

むしろフッサールは、必ずしも判断を停止しなくても現実の本質を洞察するための道具としてエポケーが使用できると考えたのです。

ビジネスにおけるエポケーの使い方

判断を停止しなくても本質を洞察する「現象学的エポケー」は現在のビジネスシーンで非常に有効なツールとして機能しています。

代表的なものはアメリカ生まれのアイデア発想法である「ブレーンストーミング」です。

ブレインストーミングは、組織のメンバーが安全でオープンな場所に集まり、普段は見過ごされているようなアイデアを探求するツールです。

同じ問題をさまざまな角度から見つめ、既成概念にとらわれず、グループの多様な経験や知識を活用することによって行われます。

この方法の核となるのが、判断や結論を避け、偏見を排除し、あらゆる事柄を根本から考える「エポケー」なのです。

ブレーンストーミングでは集中力が途切れがちなので、ファシリテーターを置き、プロセスを進めるのが一般的です。

ブレーンストーミングでセッション中に浮かび上がったアイデアを育て、出てきたすべてのアイデアを一定のパターンに従って分析し、解析することで
課題の本質を洗い出し、画期的なアイデアの可能性を見つけることができるのです。

まとめ

エポケーは何世紀も前からある哲学的な概念であり、現在ではビジネスでも広く使われています。

常識や先入観を捨て、判断を停止する。
この一連のプロセスを用いて課題の本質を洗い出してみてください。